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胚移植時の鍼灸着床鍼灸

embryo implantation

胚移植前後の鍼灸治療が着床に有効だという、多数の研究結果があります

「着床」というと、どんなイメージでしょうか?

「子宮内膜に受精卵が乗っかってくっついているイメージ」と思っている方が多いですが、実際は受精卵(胚盤胞)が子宮内膜に入り込んで内膜内部に潜り込み、しっかりと根を張って母体から栄養をとれるようになることで着床が成立します。着床の際に出血(着床出血)をする方もいますが、これは子宮内膜に潜り込む際に出血するためです(着床時に必ずしも出血するとは限りません)。

体外受精で受精卵(胚盤胞)の移植前と移植後に鍼灸治療を受けることで、妊娠率が17%以上改善するという2002年のPaulis氏の論文などにより、胚移植時の鍼灸着床鍼灸)は一気に知られることとなりました。(鍼灸施術を施した女性の妊娠率は42.5%、受けなかった女性の妊娠率は26.3%となり、妊娠率向上に効果があると結論づけています)

さらに、2006年Dieterle氏らは、胚移植後に鍼灸治療を実施したグループと効果のないツボ刺激(プラセボ鍼灸)をしたグループの2グループに分けた場合、鍼灸治療実施の妊娠率は28.4%、プラセボ鍼灸は13.8%であり、鍼灸治療を受けた方が着床率は高いと結果づけています。また2006年Westergaard氏ら、2009年Sze so氏らなども鍼灸治療を受けた方が着床しやすいという報告をしています。

【着床のメカニズム】
受精卵(胚盤胞)は、外側にある透明帯を自ら溶かしながら子宮内膜に接着し、子宮内膜の中にどんどん侵入していき完全に内膜の中に埋まり、母体の血流が流入し受精卵に栄養を届けることで着床は完了し、妊娠が進んでいきます。

着床鍼灸(胚移植前後の鍼灸)

“胚盤胞”は子宮内膜に着床する手前の状態のため、移植後24時間くらいで着床がはじまります。移植後の受精卵が着床しやすいよう、また着床の継続促進のため、子宮の血流循環を整えるとともに、余計な子宮収縮が行われないよう、独自のツボを用いて着床促進を図ります。

  • 施術のタイミング胚盤胞移植の前日・当日・翌日のいずれかが最適ですが、もし可能であれば、当日の移植直前・翌日、または前日・直後をおすすめしています(3日間連続で施術を受ける方もいらっしゃいます)。また移植から1週間程度は受精卵の子宮内膜浸潤を促進すると考えられます。
    • 初期胚移植の場合、4分割移植では2~4日後、8分割移植では1~3日後が着床鍼灸のタイミングと考えられます。但し、移植後、子宮内での胚盤胞までの発育が前提となります。
  • スケジュール移植日の施術の前までに、必ず初診を済ませてください。初診では、これまでのクリニックでの治療状況やお身体の状態をじっくり伺います。あらかじめ初診を済ませておくことで、移植日の着床鍼灸も余裕をもって臨むことができます。
    • 移植周期に入ったらすぐに子宮の血流を良くして内膜をふかふかにしておくことが肝要です。また移植日前後だけでなく、移植までに2~3回以上施術を受けられた方が、よい結果をもたらすことが多いように感じています。直前直後だけ、鍼灸で取り繕っても、なかなか良い結果には結びついていないと感じています。

また着床鍼灸は、胚移植時に一時的に巡りをよくするには効果的ではありますが、鍼灸の可能性はそれだけにとどまりません。
生理が不安定な方、ホルモン値が不安定な方、着床しにくい方、慢性的な冷えのある方、また子宮内膜症やチョコレート嚢腫などの婦人科系の疾患のある方は、なるべく早めに(できましたら3ヶ月前~)鍼灸での妊娠のための身体づくりを考えてみましょう。詳しくは「不妊・妊活鍼灸」のページをご覧ください。