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生理痛

cramp

その生理痛、放っておかないで!

とても多くの女性が生理痛を当たり前のことと思い、痛みを我慢したり、鎮痛剤を飲んでやり過ごしています。
しかし「生理は痛くてあたりまえ」ではありません。
毎回の生理のたびに痛みを我慢したり鎮痛剤を飲まなければ済まないのは、ちょっとおかしいな?と思いませんか。

「薬で痛みがおさまっているから、大丈夫」
「ピルを処方してもらっているので、生理も軽いし痛みもないです」

本当にそれでいいのでしょうか?
痛みというのは、身体からのサインです。
何らかの原因があって、痛みを発しています。
痛みだけを抑え込んでいるのは、問題を先送りしているということになりませんか?

「なぜ生理痛はあるのか?」
「自分の身体に痛みを発生させているものは何なのか?」

健康で自分らしく生きていくためにも、真剣にとらえて解決していくことが大切だと思います。
なぜなら、生理痛を放置した先には、婦人科疾患や不妊などの多くのリスクが待ち受けているからで、そうしたお悩みで鍼灸治療にかかる患者さんを多く診てきているからです。

生理痛はなぜ起こる?

生理痛は、子宮を収縮させるプロスタグランジンというホルモンの働きによるものです。マヨネーズのようなチューブを、ぎゅーっと押す力がプロスタグランジンの働きで、多少の痛みは生理的な現象といえますが、分泌量が多いと子宮の収縮が過剰になるため、痛みを感じやすくなります。寝込んでしまうような痛みで、仕事や学校、家事を休んでしまうようになるなど、日常生活に支障を及ぼすようになると「月経困難症」という病気の領域に入ります。

月経困難症は「機能性月経困難症」と「器質性月経困難症」の2つに分けられます。

「機能性月経困難症」は、10〜20代前半の若い女性に多く見られます。子宮口が未熟で狭いために経血をうまく排出できず、無理に排出しようとして子宮が強く収縮するので、痛みを強く感じてしまいます。
もう一方の「器質性月経困難症」は、子宮内膜症や子宮筋腫といった婦人科系疾患が主な原因のため、20代後半以降の女性に多く見られ、加齢と共に増加していきます。

つらい生理痛を繰り返す場合は婦人科を受診し、ご自分の生理痛の原因を把握しておくことが大切です。と同時に、鎮痛剤やピルを服用するリスクを理解した上で適切に使用すること、また原因疾患がなかったとしても、生理期間中も快適に過ごせるよう普段の生活に生理痛を軽減させるようなセルフケアを取り入れることもとても大切なことだと思います。

子宮内膜症と子宮筋腫について

ここで子宮内膜症と子宮筋腫について、どのような疾患でどのようなリスクがあるのか、簡単に確認しておきたいと思います。

子宮内膜症
子宮内膜症は、女性の10人に1人が発症すると言われており、婦人科系で多い病気の1つです。子宮内膜症の方の30~50%が不妊症、そして不妊症の方の30~50%が子宮内膜症だといわれています。

本来は子宮の内側にしか存在しないはずの子宮内膜組織が、子宮以外の場所(卵巣、腹膜など)で増殖、剥離(はくり)を繰り返す病気です。子宮内膜症が発生している病巣の周りには炎症やそれに伴う癒着がおこり、ひどくなると痛み止めを飲んでも収まらない痛み、生理中以外にも下腹部痛が起きたり、排便に伴う痛みの排便痛、性交に伴う痛みの性交痛を起こします。特に卵巣周辺にできるとチョコレート嚢腫となり、卵子の質の低下を招いたり、卵管が癒着していれば受精の場を失うことになり、不妊の大きな原因になるばかりか、がん化のリスクもあるといわれています。

子宮筋腫
子宮は、筋肉でできていて伸びたり縮んだりする臓器です。子宮の中にある筋肉は、伸縮しにくいこぶ、良性腫瘍になることがあり、卵巣から分泌される女性ホルモンによって増殖して大きくなります。このこぶを子宮筋腫といいます。

30歳以上の女性の20~30%には、1cm程度の筋腫がみられることが一般的で、珍しいものではありません。複数個できることが多く、人によって筋腫ができる場所や数、大きさはさまざまで、それによって症状は異なります。

子宮筋腫があると、生理のときの出血量が多くなり、月経量が多いことによる貧血、強い月経痛、膀胱が圧迫されて尿が近くなるといった症状をきたすことがあります。また、受精卵の着床を阻害することがあるので、不妊の原因にもなります。

「瘀血」体質を改善し、生理痛のない身体づくり

生理痛のある人は、東洋医学でいうと「瘀血」体質(気虚や血虚、気滞など他のタイプの体質が組み合わさっている場合が多い)です。血の巡りが滞りやすく、手足の末端が冷えていたり、痛みやこわばりが出やすいので頭痛や肩こりに悩まされている場合も多く見受けられます。そして、冷えやストレス・過労で悪化が進んでいきます。特に冷えはダイレクトに生理痛を増悪させるので、まずは冷やさないようにすることがセルフケアでは一番大切になります。

鍼灸では、“病気を招いた体質を改善する”のが治療目的です。生理痛のない身体づくりをめざして、瘀血を解消し冷えやストレス等による骨盤内の血流の滞りの改善を中心に、全身調整をすることにより自律神経に働きかけて血流やホルモンバランスを整え、子宮と卵巣の本来の働きを促していきます。PMSや生理に伴う頭痛や胃痛、腰痛などの随伴症状へもアプローチしていきます。

時間はかかりますが、鍼灸治療を継続していくことで子宮内膜症や子宮筋腫も次第に小さくなっていき、一旦は手術を勧められたものの手術を免れ経過観察に落ち着いた方も多くいらっしゃいます。
結果に「絶対」ということはありませんが、手術をしたくない方のお力になれるとも思います。